ヴィンシュルス『ピノキオ』

人間の嫌なところ全部見れます!
ディズニーで有名な「ピノキオ」の設定を少しだけ改変し、人間の残酷さ、欲深さ、卑猥さ、下品さ、狡猾さ等々人間の暗黒面とその業、黒い笑いを目一杯ブチ込んだ一冊。
ピノキオは人形ではなく感情のないロボット兵器、ゼペットは兵器ピノキオを軍に売ろうとする強欲ジジイ、ジミニ―はピノキオの体内に寄生する飲んだくれのゴキブリ。
所謂「まとも」なキャラクターはほとんど出てきません。
物語はゼペット家から逃走したピノキオの冒険譚として始まり、ピノキオは行く先々で様々な「醜い現実」に出会い、それをロボット故の虚無な瞳で見つめていきます。
ピノキオが見る「醜い現実」を通して実世界の問題を浮き彫りにし、人間の愚かしさとある種の可笑しさを徹底して描写することで「この現実をどう見るのか」また「人間として生きること」を読者に問いかける名作。
ブラックユーモア好きには超お勧め!、逆に苦手なら絶対に手を出さないように!

ピノキオ (ShoPro Books)

ピノキオ (ShoPro Books)